ETC の普及率を上げる作戦

毎日欠かさず見ている MSN ニュースに「高速道のETCレーン、賛否両論で公団も頭抱える」という記事があった。高速道路の料金所を現金などの支払いなしで通過できる ETC というものが日本で始まっていることを初めて知ったが、そのETCがなかなか普及していないとのこと。そして利用者の少ないETC専用レーンが渋滞をさらに悪化させているとして一般車から苦情がでているとのことだ。

普及しない理由ははっきりしている。ETC を利用するには車載器を車のダッシュボードなどに取り付けるのだが、これが3万-5万円、登録料に約3000円、取り付け代に約5000円だそうだ。冗談かと思う。

ここカリフォルニアにも Fastrak という同様のシステムがあり、私も使っていて大変便利に思っている。アメリカでは高速道路は無料だけれども、橋を渡るときにはお金を払う。サンフランシスコと言えばゴールデンゲートブリッジ、この橋を渡るにも $3 必要で、こうした橋の料金所で Fastrak は利用できる。

この Fastrak の気になるお値段は、というと、無料。登録料だって無料だし、取り付けは自分でおこなう。約10cm四方の薄い正方形の機械をバックミラーの裏の邪魔にならないフロントガラスの内側に強力な両面テープで貼るだけだ。その上、私が良く利用するベイブリッジの料金は$2なのだが、最近まで Fastrak 利用者は特別料金 $1.85 だった。渋滞を緩和するためには、なによりも利用者を増やすことが必要だ、ということがわかっている州の当然の戦略だ。

こういう状況を知っていれば、日本の ETC 車載器の料金が冗談と思えることをわかってもらえると思う。きっと日本道路公団は ETC を普及させたくないと思っているのに違いない。

車載器は無料にした上で、専用レーンをどんどん増やし、渋滞を横目にスイスイ通り過ぎていく ETC 利用車を一般車に羨ましがらせる。これが ETC の普及率を上げる至極当たり前の作戦である。